fdxふるの意識体

盛らず、飾らず、煽らず淡々とフリートーク。

とりあえず生きてみる気になった文学作品2つ(青空文庫URLと引用)

私が38歳の時、これから自分が老いて死んでいくということが

ひどく怖くなり、2カ月間くらい、ほとんど何も手につかなくなる

ということがありました。

 

そんな状態から一応立ち直るきっかけになったのが以下の2つの文章でした。

ボードレールは早朝たまたまつけたラジオで朗読していて、

吉川水滸伝は中古本が激安だったので買って読んだ)

 

もし、何か少しでも感じるところがあれば幸いです。

 

---以下、URLと、刺さった部分の引用のみです。

酔へ!ボードレール シャルル・ピエール  
https://www.aozora.gr.jp/cards/001732/card55451.html


 常に酔つてゐなければならない。ほかのことはどうでもよい――ただそれだけが問題なのだ。

君の肩をくじき、君の体を地に圧し曲げる恐ろしい「時」の重荷を感じたくないなら、君は絶え間なく酔つてゐなければならない。

 しかし何で酔ふのだ? 酒でも、詩でも、道徳でも、何でも君のすきなもので。
が、とにかく酔ひたまへ。

 

新・水滸伝「“生辰綱の智恵取り”のこと。並びに、楊志死の谷を覗く事」
https://www.aozora.gr.jp/cards/001562/card56146.html

「生れて、三十余年。これで死ぬのか。いったい何しに、生れてきたのか」
 死の谷を見おろした刹那、楊志の胸には、過去三十年の自身の絵巻が、いなずまの如く振返られた。

 父母の面影が映る。弟妹の声が聞える。武芸の師、読書の師、およそ、この身を育んでくれた天地間のもの、ありとあらゆる生命の補助者が、ひしと、彼の袂をつかまえて、「なぜ、死ぬのか」「死は易いが、生は再びないぞ」と、引き留めているような気がした。

「ようし、おれは死なんぞ。こんなやつらと心中してたまるものかい。そんな安ッぽい一命じゃなかったはずだ。後日、今日の匪賊どもを捕えるのも一使命だし、あとの命は、どう使うか。そいつも、生きてからの先の勝負だ」